ろんり的効率化で受験を駆け抜ける

中高生へ贈る、入試問題の本質を知るという効率化

ろんり@公立高校入試の英語:実践編1

今までお伝えしてきた内容に加え、高校入試の受験英語で私が実際に解く方法を一緒に紹介しながら問題を解説していきたいと思います。

念のため言っておきますが、受験英語を解くにはある程度の知識は必要ですし、構造で攻める手段が無ければ最後は訳すしかありません。

受験英語では訳す力も問われますから、数問は訳して解く問題も出てきます。結局のところ、一定の知識が無ければ勝負の土台には立てないということです。単語や熟語を覚えることから逃げないでください。ちゃんと役に立ちますから。

単語や熟語の効率的な覚え方は後日紹介できればなと思っています。

 

ー栃木県公立高校入試ー
2018年度栃木県公立高校入試の英語を解説していきます。
著作権上の理由から、問題そのものを掲載することはできないので、必要であれば自作の類題を用いて解説したいと思います。
この入試問題は検索すれば出てきますので、ぜひ照らし合わせながら参考にしてみてください。

 

〈大問2の1番〉
大問2の問題は文章中の空欄に適切な選択肢を穴埋めする形式で、文法力が問われる問題です。単語力が必要となる問題もあります。

手順1:
空欄の位置を把握する。文章中のS(主語)の位置にあるのか、V(動詞)の位置にあるのか、それともO(目的語)なのかC(補語)なのか、はたまたOを前から修飾する形容詞なのか。位置によって、選ぶ単語の傾向が分かります。

手順2:
もしVの位置であれば、それが過去形か三単現のsが付くか、自動詞か他動詞か。前後のSやOを見て絞っていきます。

OやC、形容詞のときも、複数形なのか現在分詞なのか過去分詞なのかなど、文章中でどんな役割を果たしているのか、前後の単語や構造を見て、判断しましょう。

では、実際に解いてみます。高校入試の問題は検索すれば出てきますので、それと照らし合わせて参考にしてみてください。

(1)
空欄の前にIという主語、後ろにa speechという目的語があるので、入るのは動詞です。文頭にyesterdayがあるので、動詞の時制は過去形です。
ここで選択肢を見てみると、動詞はア:makeとイ:madeだけで、ほかは動詞の形を変えられているので、動詞としては扱えません。ちなみに、ウ:to makeは不定詞、エ:makingは分詞(準動詞)と言います。
アとイに絞れたところで、過去形であるのはイなので、答えはイです。訳すことはありませんでしたね。

(2)
後ろにbe動詞のwasがあるので、空欄に入るのは単数か三人称の主語。またこの文章はSVCの第2文型なので、S=Cが成り立ちます。
ア:Iだとすると「私=my second time」となり、不適切です。人間と回数がイコールというのはおかしいですよね。
イ:Heならば、前文にHeを指す単語があるはずですが、ありませんので違います。Leonを指すならば、2行目のようにyouのはずです。S=Cで考えても分かります。
ウ:Thereとすると、There was my second time.のThere is構文であり、「私の2回目があった。」となり意味が通じません。
エ:Itが正解です。「それは2回目だった。」は意味が通じますし、Itが単数であることから前文のa speechを指すことが分かれば、さらに納得だと思います。

(3)
SVの後ろであり、Vがfeelなので空欄に入るのはC、O+C、doingのいずれかであると考えられます。動詞によっては後ろにくる構造が決まっているものが多いので、覚えてください。これもいつか紹介します。ちなみにtellやtalk、makeなどがその部類です。
空欄の後ろは接続詞butなので、O+Cは違いますね。選択肢にもありません。まずOがないですから。
ここでぜひ覚えてほしいポイントですが、接続詞butは「しかし」と訳され、「内容の逆転」という性質を持ちます。butの前後で、話の内容が逆転するんです。「私はイケメンであるが、しかしモテない。」といった具合に。ここでbut以降の文を訳してみると、「私は前回よりうまくできた」と述べているので、プラスの内容となっています。ということはbutの前の文はマイナスの内容ということです。よって、空欄にはマイナスの意味を持つ単語が入ります。
ア:nervousは「不安な」「神経質な」という意味でマイナスです。よってこれが正解です。
イ:wonderful「素晴らしい」これは明らかにプラスですね。
ウ:amazing「素晴らしい」「驚くべき」という意味でプラスです。乃木坂46高山一実さんの名言ですね。アメイジング!!!!!
エ:brave「勇敢な」という意味でプラスです。ブレイブ・ストーリーってアニメ映画ご存知ですか?そのbraveです。

若干訳す場面がありましたが、この程度です。

(4)
Vの後ろだからOかCだろ、と決めつけがちですが、まあまあ落ち着いて。そこまでワンパターンではありません。前後や選択肢も見ましょう。
前後→選択肢の順番で見ていくといいですよ!
まず、decideという動詞が既に使われており、接続詞や関係代名詞もないので、もう動詞は置けません。
次に、Vであるdecideは自動詞や他動詞の両方でよく使われる単語で、受験でもよく問われる代表的な頻出単語です。しかし、受験で出題されるdecideの9割はdecide to V「~することを決定する」という熟語形式です。高校入試を控える中学生の方はこれだけ覚えてくれれば十分です。
ア:to talkはto Vの形になってるので、動詞でもありませんし、decide to Vの形も満たします。よって正解です。
イ:talkingですが、decide talkingなんて形はありません。
ウ:talkエ:talksは動詞のままなので動詞は一文の中に1個までというルールに反しますので、不適切です。

(5)
空欄の前までに既にSVOが出ています(Oはmy friendですよ!)から、空欄に入るのは、この文が第3文型と考えてOを後ろから修飾できる分詞か、第4文型のO2か、第5文型のCか、の3択です。
答えを決めるのは簡単ですが、それ以外の選択肢を消す方法はちょっと難しいかもしれません。先に正解を言っておくと、答えは第3文型と考えた場合でエのlivingです。この答えを確定させるには念のため訳した方がいいと思います。これはmy friendとliveの間に能動の関係(「友人は住む」なので、SがVする、ですから能動関係です)(SがVされる、なら受動の関係ですから過去分詞の形にします)があるので、liveが現在分詞livingとなり、living以下がmy friendを修飾して、「ドイツに住む私の友人」という意味を形成しています。
ア:to live不定詞であり、「住むための友人」となり通じません。不適です。

では、なぜイとウの選択肢を消せるのか、考えてみましょう。これは難しいので、ちょっと段落を分けて説明します。
動詞1個までルールじゃないの?と思ったあなた。正解です。正解なんですが、少し優秀な方は関係代名詞の存在が気にかかってしまったりするので、ちゃんと解説します。
一部の方は、この空欄の前にthatが省略されているのでは、と考えてしまったかもしれませんが、関係代名詞のthatを省略できるのは、後ろにSVが続くときだけです。後ろがVでは、省略できません。
よって、関係代名詞thatの省略はなく、イとウは動詞1個までルールにより不適切と判断できるのです。

(6)
前にHeがあり、後ろにJapan(名詞)があるので、空欄に入るのは後ろに目的語が来る他動詞です。また文中に過去を示すlast summerがあるので、入る動詞の時制は過去形です。接続詞and以降の文にstayedという過去形の動詞があるから空欄に入るのは過去形と考えてもいいです。andは「内容の並列」「因果関係」などの性質を持ちます。
ア:came 過去形は満たしていますが、comeはほぼ自動詞として使われるので、後ろにtoが必要です。他動詞として使う場合もゼロではありませんがまず訳として不適です。comeの訳についてはしっかり辞書で調べることをお薦めします。
イ:went goの過去形wentですね。「~に行く」という意味のとき、goは自動詞で使われます。go to bedとかよく見ますよね。その形を覚えていれば大丈夫です。よって目的語japanを置くには、後ろにtoが必要なのでwentだけでは不適切です。
ウ:visited「~を訪れる」という意味の他動詞visitの過去形です。問題ありません。正解です。
エ:arrived「到着する」という意味の自動詞arriveの過去形です。よって不適切です。arriveはよくarrive at「~に到着する」という形で出題される頻出の自動詞です。覚えましょう。

 

〈大問2の2番〉
この並べ替え問題はほぼほぼ構造で解いていく問題です。手順がポイントになるので、よく手順を覚えてください。

手順1:
まずは中心となる動詞から決める。動詞が2個以上あって決められないときは、前後の関係から決める。どちらかは動詞としては扱えないはずである。他動詞か自動詞か、などがその後とても重要になってくることがある。熟語から絞れる場合も多いです。絞り切れないときは、気にせず次の手順へ行きましょう。

手順2:
主語を決める。主語は絶対名詞(として扱える形の単語)ですから、決めやすいです。

手順3:
文型を整える。

手順4:
構造的ルールに基づいて、順番を適切なものへと整理していく。
(ちょっと抽象的でごめんなさい。しっかり解説します!)

手順5:
訳して日本語的に正しいか最終チェック。ここまでいったら完璧です。

(1)
まずは手順1に基づいて、中心動詞を決めます。選択肢の中にある動詞はhaveとgoです。後ろにto schoolがあり、to schoolの前にtoとdon`tは当然置けませんし、have to schoolなんて表現はありませんから(訳せませんよね)、to schoolの前に置くのはgoです。よって中心となる動詞はhaveであると絞れますが、ちょっと難しいかもしれません。この時点で絞れてなくてもいいです。次に、主語はweと与えられていて、選択肢にdon`tがあるのでweの後ろはdon`tが来て、主語+don`t+動詞の構造であるとわかります。
もし、haveとgoが絞れていなくても、残った他の選択肢がtoなのでおのずとhave to goかgo to haveのどちらかの形だと分かると思います。後は訳して決めてもいいですが、私ならhave to「~しなければならない」の文法だな、と考えてhave to goだと決めます。
よって順番はイウアエが正解になります。

(2)
動詞の可能性があるのはmadeかgaveですね。She madeかShe gaveか、どちらであるかはまだ決められません。次に後ろを決めていきます。makeやgiveは第4文型でよく使われる「与える」系の動詞であり、O1+O2は人+物の順番です。もしO2+O1なら間にtoかforが必要です。今回はないので、人+物の順番でOKです。ということは、me+a toyですね。
後ろにmeが来る動詞は当然gaveでしょう。madeでは「彼女が私を作った」となり、ちょっと怖いです。やめてください。
ちなみにmakeはa toyとの関係が受動(おもちゃは作られるものですから)の関係なので、makeは過去分詞madeの形をとり、made以下がa toyを修飾しています。makeは他動詞なので、たとえ形を変えて動詞ではなくなろうと後ろには目的語が必要です。どうしてないのかと言えば、過去分詞madeだからです。受け身形の文で他動詞の後ろには目的語が来てませんよね。それと同じです。受身形では、目的語が主語になっていますから。ただし、現在分詞であれば絶対目的語が必要です。進行形の文で他動詞の後ろには目的語がありますよね。それと同じです。
よって順番はウイエアで正解です。

(3)
動詞として考えられるのはmistakesかbeです。mistakesなら三単現のSが付いてますから、主語は単数主語のはずですが、単数主語として使えそうな名詞はありませんね。beが動詞ならDon`t+原形「~してはいけない」という命令形の文が考えられ、Don`t+beとなります。原形って知ってますか。形になにも変更を加えらえれていない動詞のことです。isやareといったbe動詞の原形がbeです。ちなみにdon`tの後ろには必ず動詞の原形が来ます。
またbe動詞の後ろに動詞を置くときは進行形(現在分詞)にしなくてはならないので、Don`t be making~の構造が考えられます。この時点でも中心動詞はbeだろうなとほぼ予想は付くと思います。
さて、ではafraid ofですが、afraidはbe afraid of~「~を恐れる」という熟語が有名です。入試ではほとんどこの形で出ます。
よって、mistakesが動詞でないとすれば名詞ということになりますから、ofの後ろにきて、be afraid of mistakes「失敗を恐れる」となり適切ですね。よってウオエイアが正解です。

さて、では大問2の解説は以上です。いやあ思ったより長くなりました。これでも若干省略したつもりなのですが、大変ですね。

ここまでで気づいてくださったかもしれませんが、ほとんど訳して解いていません。訳は本当に最終手段なんです。私は思うのですが、訳して解くことを想定して問題を作るのは、ほんとに少数ではないでしょうか。ここまで構造から解けるのですから、訳は想定してないと思いますよ。それに、結構な知識を披露しました。入試ってほんとに3年間の学習を使って突破するもんなのですね。改めて気づきました。

でも、やっぱり勉強って嫌いだなあ笑 なんかルールに縛られすぎてて息が詰まります。でも、大学へ行くにはそのルールに従わなければならない。でもうまく夢を叶えるには、それを受け入れなければならない。私は受け入れて、医学部に合格しました。皆さんがどう受け入れて勉強していくか、楽しみです。

では、次は栃木県高校入試 大問3の長文読解の解説をしていきたいと思います!

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

参考文献:2018年度栃木県公立高校入試問題ー英語